
○前田
それでは、山下さんにお願いします。(拍手)
○山下
皆さん、おはようございます。ただいまご紹介にあずかりました山下徹でございます。大阪にございますキャパシティー898席のシアター・ドラマシティの演劇プロデューサーでございます。
私は、もともと東西にございますコマ劇場の社員でございまして、最初からプロデューサーであったわけではございませんが、前田さんと同じく、子供のころから芝居が好きで、それも余り新劇とかそういう難しい芝居ではなくて、幼児のころは母親に連れられて宝塚歌劇を見たり、あるいは中学、高校くらいには新劇アンクラというああいう若者芝居はなかったんですけれども、どちらかというと新国劇のファンでございまして、島田正吾の大ファンでございました。いわゆる東映のチャンバラ映画を子供のころから見て楽しんだ。その延長で、舞台の上で立ち回りをやるというのにやんやの喝采をしたものです。もちろん、新劇その他そういう芝居にも入ってまいりましたけれども、エンターテインメントのファンであった、こういうことでございます。前田さんは生粋の新劇ファンだったようでございますけれども。
アートマネージメントという名前がございますので、プロデューサーというのとはどう違うのか、あるいはどうなんだというふうに誤解があるかと思いますが、プロデューサーの仕事というのはアートマネージャーでございます。アートマネージャーというと、何か外からただお金の出納だけを計算しているような印象を受けるかもわかりませんが、プロデューサーというのは全部お金を掌握する。もちろん、企画の最初の1ぺージから幕があくまで、あるいは幕がおりるまで全責任を持つというのがプロデューサーの仕事、一口で言えばそういうことなんですけれども、アートマネージャーもプロデューサーの仕事であります。
先ほど音楽のご説明の中で作曲家、演奏家、聴衆、こういう非常に簡単なわかりやすい図式をご説明いただいたわけですけれども、演劇の場合は作曲家というのが、いわゆるスタッフ、演奏家というのはキャストでございますね。アートマネージをして、プロデュースをして、観客にリーズナブルな料金でいかに見せられるか、これがプロデューサーの仕事でございます。
ちょっと余談になりますけれども、私が感じる限り、作曲家でこういうアートマネージメントをやった最初の人物というのは、私はワーグナーではないかと思います。ワーグナーという人はスポンサーを見つけまして、自分の専用の劇場を建てて、劇場の運営までや
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